車椅子を選ぶときのポイント
ただ「車椅子」といっても、使用目的や、お使いになる方の身体の状況、介護される方の操作によってさまざまです。
車椅子にはたくさんの種類があります。
車椅子に人を合わせるのではなく、人に車椅子を合わせることを十分に考慮してください。
まず最初に考えること
目的
車椅子に乗る方にとっての使用目的を明確にしないと、使い勝手の悪い車椅子になってしまいます。
例えば、「歩くことが不自由なので日常的に使う」とか、「歩けないひとを天気が良いときに散歩へ連れて行くために、ときどき使う」では、選ぶ車椅子が変わってきます。
どのような使い方をするつもりかを、よく考えてみてください。
環境
家の中で使う場合や、家の外で使う場合。長時間座っている場合など、様々な使用環境があります。
使用環境に適さない車椅子は、事故や怪我の危険性があります。
将来性
状態や体型は、年齢・生活環境などによって変化します。
現状だけでなく、先を考慮した車椅子の選択をオススメします。
車椅子の操作について
ご自身で操作して移動できる
自走用車椅子(介助用としても使用できます)
ご自身では操作できない
介助用車椅子(乗られた方が手でこぐことはできません)
サイズについて
少しでも小さな力で動かしたい
重量が軽いもの(必ずしも軽い=操作しやすいではありません)
屋内でのご使用、せまい所を通りたい
全幅(車椅子事態の幅)が小さいもの、小回りがきくもの(6輪タイプなど)
小柄、または大柄である
座幅が合ったものを選ぶ(広すぎても体が傾き危険です)
足でこぐことが多い、自分で乗り降りしたい
前座高(座面の高さ)が低いものを選ぶ。低床タイプ
車に乗せて移動する、収納場所がせまい
折りたたみ幅の小さいもの、背おれ機能が付いているもの。
特別な機能
坂道でも安全に操作したい
介助ブレーキ付き
ベッドなど横への乗り降りがしやすい
ひじ掛けはねあげ式
乗り降りのしやすいもの
スイングアウト(足置きが左右に広がる)機能付き
乗り降りのしやすさ、乗車安定性
ティルト(前傾や後傾に座面の角度が調節できる)タイプ
乗られる方の状態に合わせて座位姿勢
リクライニング(背もたれ角度が調節できる)タイプ
長時間乗られる方や、座位保持が困難な方
モジュール(座面高さや座幅を調節、部品の組み換えができる)タイプ
身体に合った車椅子を選びましょう
身体寸法
こぎやすく、姿勢がくずれにくい車椅子とは、体型にあった車椅子です。
床ずれなどの2次障害を予防することにもなります。
座位能力
支えなく座れるか、どこに支えがあると座れるかなど考慮してください。
姿勢は呼吸や動作などに影響を与えます。
姿勢保持クッションを使用するなどして、姿勢よく座れることを心がけるようにしましょう。
車椅子を使った生活
移乗方法
車椅子にどのようにして乗り降りするか。
安全に、長時間身体に負担を掛けないような移乗方法を考えて見ましょう。
移乗支援用品、トランスファーボード等を使用することを考えてみても良いでしょう。
整合性
日常生活場面を考えた車椅子選びも大切です。
例えば、廊下がせまい所で使用する場合は、全幅の小さいコンパクトタイプが良いでしょうし、段差の乗り越えや畳などのやわらかい路面で使用する場合は、車輪が大きいものが良いでしょう。
目的や身体にあった車椅子を見つけることは大切です。
ご使用者にとって乗り心地がよく、介護される方にとっても扱いやすい車椅子を選ぶことができても、住居の状態がせまく、段差が多ければ、動きづらくなり、行動範囲もせばまります。
ただ、大掛かりな住宅改修を行うのは大変です。
めったに使わないものや大きすぎるたんすなど、工夫次第で兼用できるものもあると思います。
模様替えや、不用品の整理などちょっとの工夫で新たな生活領域を見つけることができるかも知れません。