介護用段差解消機・スロープの選び方
段差解消スロープは、段差を緩やかな傾斜に変えるための渡し板で、車椅子での移動には必要になります。
屋内の廊下と部屋の間などにある、小さな段差を解消する段差スロープもあり。
車椅子の方以外にも、足が上がらなくなり、敷居につまずいてしまう、といった方にも役立ちます。
しかし、スロープの上では歩行器や多点杖は斜めに使う事になるので、バランスが悪くなるため、あまり相性がよくありません。
屋外スロープなど、スロープの傾斜が長い場合、使用する本人がスロープを上り下りする歩行能力があるか、車椅子の場合は介助者や本人が安全に走行可能かどうかを確認する必要があります。
段差解消にスロープの設置や導入の前には、「本当にスロープでよいのか」を再確認しましょう。
スロープ設置の前に確認すること
スロープの設置や導入前には、本当にスロープでよいのかを確認しましょう。
目的・用途
段差解消スロープは、段差のあるさまざまな場所で使用されます。
その使用される場所に合わせて、形状や材質の異なったものを用います。
屋内用スロープは木製や樹脂製・ゴム製のものが多く、
屋外用スロープはアルミ製やカーボン製のしっかりしたものが多いですね。
屋内・屋外のスロープは固定すると住宅改修の介護保険が適応となる場合があります。
介護保険制度で貸与(レンタル)される段差解消スロープは、取付に工事をともなわず、持ち運びが容易であるものとされています。
構造・機能
段差解消スロープの材質は、木製や金属製、樹脂製・ゴム製などさまざまです。
ゴム製の段差解消スロープは紫外線で劣化する場合がございます。
日の当たる場所で使う場合は、スロープの材質にも注意が必要です。
形状も平面になっているものから、レール状で車椅子の車輪の部分だけ乗せるものもあります。
持ち運びが簡単になる、折りたたみ式スロープや伸縮式スロープもあります。
下記のような場合では、スロープは適していません。
- 症状が一定しない変則的な状態が多い慢性関節リウマチで、足関節が直角の状態で骨と骨とが接着して固まっている人。
(登りスロープで足関節に矯正力がかかり、骨折してしまったケースがあります。) - 下肢装具を装着して足関節を固定している方にとっては、傾斜のあるスロープは逆に移動にしくい場合があります。
- 歩行器や多点杖を使用している場合は、傾斜面をさけて杖を突かなければなりません。
このような場合はスロープではなく、式台・玄関台などを設置して、段差の高さを低くしてあげる方がいいです。
段差解消スロープのタイプ
レールタイプ 設置しやすい。 運びやすい。 リーズナブル。 |
|
一枚板タイプ 安定感がある。 介助しやすい。 活用範囲が広い。 |
段差解消スロープの長さの選び方
スロープの長さ選びは、傾斜角度を目安に決めます。使用場所や用途に合わせてスロープをお選びください。
車椅子の車種や、車椅子利用者の体重、介助する方の体力などでスロープの傾斜角度の設定が異なります。
使用環境にあわせてお選びください。
車椅子を介助者に押してもらう(介助用車椅子)場合
スロープの長さは段差の約6倍、傾斜角度は10度が目安になります。
電動車椅子の自走はもちろん、介助の方がより楽に車椅子を押すことができます。
段差高さ×6=スロープの長さ
例えば、30cmの段差に傾斜角度10度のスロープを設置するには、
30(段差高さ)×6=180cmのスロープが必要になります。
車椅子を自分でこぐ(自走用車椅子)場合
スロープの長さは段差の約12倍、傾斜角度は5度が目安になります。
傾斜角度が5度だと、緩やかな傾斜で、自走用車椅子の方でもほぼ上がることができます。
下るときも加速がつきにくいので、余裕を持って走行しやすくなります。
公共施設などの常設のスロープの場合には、傾斜角度4度未満がオススメです。
段差高さ×12=スロープの長さ
例えば、30cmの段差に傾斜角度5度のスロープを設置するには、
30(段差高さ)×12=360cmのスロープが必要になります。
段差解消機について
段差昇降機とは、玄関などに設置し、上下移動することで段差を解消するリフトです。
車椅子などによる移動のさいの段差解消手段として、スロープが設置できないようなせまいスペースで有効であり、
また、大規模な住宅改修を行うよりも経済的です。
◎段差解消機の種類
電動式段差昇降機
電動式はスイッチ操作を本人が行うことができます。
重症の障害がある場合でも、ある程度車椅子操作が可能で、
上股機能が保たれていれば自立できる場合が多いです。
手動式段差昇降機
手動式は、ハンドルまたは、足踏みペダルを介助者が操作します。
必ず介助が必要となります。
◎選び方のポイント・目安
目的や使う場所を検討し用途に応じて選んでください。
また、簡単に操作できるものが良いでしょう。
屋内と屋外との移動に「自立」を最優先するなら、スロープに優先して電動段差昇降機の設置を考慮すべきでしょう 。
移動式にすると、介護保険の「福祉用具の貸与」の適用商品になります。
段差解消機は、安価なものでも40万円程度の費用がかかってしまうので、設置はなかなか困難です。
固定しない移動式にすると、介護保険の中の「福祉用具の貸与(レンタル)」の適応商品になります。
安価なものであれば、月々3,500円~4,000円程度の自己負担で導入することができるので、検討してみても良いと思います。