高齢者の歩行の特長と移動方法
自分の力で移動することは、自立した生活に欠かせないもっとも基本的な動作の一つです。
寝たきりや閉じこもりの防止に有効と考えられています。
自分の力で移動することの一つに「歩行」があります。
しかし、一般的に高齢者の歩行は、退行すると言われています。
歩行のような運動をする機会を増やすことが、高齢者の死亡率低下につながると報告されています。
高齢者の歩行の特徴
高齢者の歩行には以下の特徴があげられます。
- 歩くスピードが遅くなる
- 小刻みな歩行となる
- 腕降りが少なくなる
- すり足で歩く
さらに、身体が丸くなる円背(えんばい)姿勢では、股関節・膝関節が曲がってしまうため、歩幅を広げることができなくなります。
そのため、おしりの筋肉(大臀筋)がやせてきます。
移動方法
屋内での移動方法が、必ずしも屋外の移動方法と同じわけではありません。
屋内では自力で歩いていても、屋外では杖や歩行器を使って歩くというような場合も多くあります。
家の中は、手すりや壁を利用して伝い歩きができるが、屋外では怖くて歩けない。といった場合もあります。
このような場合には下記の理由が考えられます。
- 屋外歩行に対する恐怖心があり、福祉用具をちゃんと使用できるか自信がない。
- 屋外歩行にしようする福祉用具を知らないため、屋外での歩行に不安を感じる。
1.のように、福祉用具の使用に自信がなく、恐怖心がある場合には、強制的に福祉用具を使用しても、さらなる恐怖心が増し、導入を妨げてしまうことがあります。
このような場合には、本人の要望を聞くことが必要です。
2.の福祉用具を知らない場合には、誰かが付いて福祉用具を使用して散歩をしてみてください。
福祉用具の使用に自信が付いたら、活動範囲を広げたり、「誰かの家にいく」「買い物に行く」など外出目的をはっきりさせてください。
◎歩行と福祉用具の関係
◎歩行用具(移動関係)
身体状況にあわせた方法で、歩く機会を増やすことが大切です。
シルバーカー
フレームの下に車輪が付いた歩行補助具です。
障害の軽度の方や脚力の弱ってきた高齢者の外出を補助し、
行動範囲を広げます。
荷物を収納できるカゴがついたタイプや、
座って休める椅子付きタイプもあります。
※シルバーカーは【自分で歩くことのできる人】が対象です。
歩行器
四脚のフレーム構造で、握り部以外には支持部のない歩行補助具。
固定型、交互型、四脚二輪付き、線腕型など様々なタイプがあります。
歩行器を使った歩き方
杖・介護杖・歩行杖
歩行時に身体を支え、バランスを維持します。
T字杖、四点杖、折りたたみ杖などさまざまなタイプがそろっています。
身体状況を考慮し、無理なく使える杖を選びましょう。